2023/5/21(日)

晴れていると晴れているという理由だけで一時間ほど散歩してしまう。二時間になることもめずらしくない。朝の日差しを感じてコーヒーを飲んでいると、淹れたばかりのコーヒーも放置して外に出たくなってしまう。牛乳を追加してカフェオレにしてから冷蔵に入れて外に出る。散歩はいつものルートがあるけれど、なぜかそちらに足が向かない。めちゃくちゃに住宅街を歩く。住宅街なんて歩く意味がないから知らない道ばかりで楽しい。びっくりするような豪邸を見つけたり、よさげなデザイナーズマンション(この言い方は嫌いだけどこの言い方しかない)を見つけて、家賃を検索したりする。

文フリに行くことは決まっているけど、行くのが億劫だった。欲しいのに買えない事実と対峙しながら、制作者の前に立つことが苦しい。メイクをしながら真空ジェシカのラジオ父ちゃんを聴く。川北さんが竹内ズの解散について「もっとはやく解散するべきだった」と言っていて、わたしは川北さんのこういうことが好きだと思った。川北さんの優しさに触れるたび、ぽっとしてしまう。現行、唯一の推し。

モノレール。窓際に立っているといまに落ちそうだなって思う。工事現場の床と目が合う。電車が落っこちたら、たぶん最後の記憶はこの床になるんだろうな。落ちている間の記憶は失われるだろう。大井競馬場を超えたあたりの風景が好きで、これを見ると文フリにきたなと思う。真下には湾と対面にはマンション群と緑。水と緑のコントラストがしばらく続いていくのが好き。大きな水が好きだという話なんどもなんども繰り返している。

ツイッターで「混みすぎ」「暑い」というつぶやきをいくつも見ていたので覚悟していたのだけど、人の多さに圧倒される。とりあえず目当てのブースに行ってそれから考えようと思う。川名潤さんブースに行くが売り切れていて、そりゃたしかにそうかと思って仕切り直し。

寺本愛さんのブースで『うつくしき忘却』が好きだと言いにいく。好きだと言いにいくって変だけど、好きだと言いにいくとしか言えない。もともと寺本さんのイラストは好きでZINEも持っているけど、文章も寺本さん的な世界観で地続きであるようで、表現が変わればまったくちがうものになる。こうしてどちらも触れることができてうれしい。

佐々木ののかさんと辻本達也さんのブースに。佐々木さんのことはたぶんわたしが大学生の頃から読んでいるので、もう7,8年読み続けている。戦い続ける年上のお姉さんの姿はわたしにとっては希望だった。少しずつ変容していく様をツイッターで見させてもらえることもとてもありがたかった。自分にとってのよさを追い求める人はかっこいい。目の前にいる佐々木さんはほんとに素敵な人だった。

me and youブースで文通日記を買う。she is時代にイベントにお伺いしたことあったけれど、どうしても二人から買いたかった。「メルマガとはやっぱり印象が変わる」とぽろっと言ったら、おふたりが私たちは客観性を失っているから、その話詳しく聞きたい!と言ってくれて、その反射神経のよさというか姿勢にとても惹かれた。その瞬間におふたりのパワーに少し触れた気がしてうれしかった。憧れている。

雰囲気たちブースで『われわれの雰囲気』と、買うタイミングを失い続けていた『35歳からの反抗期入門』と柏木さんの『すっきり聴くための対話集』を買う。ブースはさすがの盛況ぶりだった。隣の前田さんのブースも気になりつつ、やっぱり手が出せなかった。

ブースをまわる余力はあるけれど、これ以上買うと今後の生活に響くので、諦めて帰ることにする。好きで読んでいる書き手がずっと活動を続けていることがとてもうれしいから、そのことは伝えていきたいし、そのぶんのお金は払っていきたいのに、な。お金がないことについて考えはじめると、どうしようもない気持ちになる。どうにかお金を持って、自分が使いたいかたちで使うしかない。いまお金がないことはしょうがない。責めない。

帰り道、earth wind and fireを聴く。最近、何を聴いたらいいか分からなくてearth wind and fireばかり聴いてしまう。なんでかって、最高だからだ。