2022-12-11(日)

入眠障害途中覚醒のせいで今日もうまく眠れない。でも、ついに日記祭だ。マーライオンさんの曲を流しながら準備する。もともとわたしの日記を読んでいる人はどういう人なのかと思うだろうから、人に見られるのがプレッシャー。失敗せずにメイクできた。よかった。ゆっくり準備をしていたらもう出発の時間だったので、急いでキャリーケースを持って外に出る。重い。帰りも重かったらつらいと思って、無理矢理には詰めてこなかった。

会場について、自分の名をどう名乗ればよいかわからず、Tinderの人ですと挙動不審になりながら答える。でもあたたかい反応でよかった、安心した。開始前、途中さんと寝生活さんと芝山さんのところに顔を出す。知り合いいるって心強い〜。新刊がそれぞれいい感じ。気合が入っている。ブースのとなりはミュージシャンのマーライオンさんで、ミュージシャンの隣ということを知ってからずっと恐縮していた。当日いざお会いするととても気さくな方で安心した。スタッフさんやここねさんを紹介してくださって、はじまる前の緊張が少しほぐれた。何度も安心してしまうくらいずっと不安がいっぱいだった。

開始早々に月日の久木さんやほかのスタッフの方にPOPや本の装丁を褒めれもらえてうれしかった。デザイナーありがたい。月日の店長の栗本さんにスタッフ内でけっこう前から存在は認識していたと言われて、ひゃーーと思った。はずかしい。ありがとうございます。まあでもへんなひとですよね。内沼さんにもフォローしていただいていて、「読んでます」って言われて、あわあわした。月日がなかったら、日記祭がなかったら、わたしはきっと本をつくってはいないだろうから、きっかけを与えてくれたことに感謝。月日の活動はいまや日記文化の中心だ。わたしのTinderをきっかけに日記をはじめた人が日記本を出したり、日記祭に出てくれたら、月日に恩返しできるかななんて夢想してしまう。トークにきていた植本さんと滝口さんもブースを寄ってくださって、「Tinderで送る?どういうことですか?」と聞かれて、必死こいて説明した。植本さんが、へー売れそうですねと言ってくれて、うれしかった。というか興味を持ってもらえるだけでもうれしすぎる。ただの挙動不審なファン状態だった。「往復書簡読みました」とひねり出すのが精一杯だった。でもやっぱりTinderやってない人へのフォローが少なすぎて不親切設計だと思った。反省。どうにかパワーアップしたい。

日曜日のボーナストラックの人手をわたしはなめていた。こんなにたくさん人がくるんだ!ありがたいことに人が絶えることなくずっと来続けていた。「Tinderでマッチした男の子に送りつけた日記をまとめてた本です」というと、たいがいの人が笑っていた。さらに「好きになった男の子の日記も載ってます」というと、みんなえーという思惑どおりの反応してくれて、策士なわたしはにやにやしていた。わたしは意外と社交性のある一般会社員なので、ちゃんとしゃべれる。だれかに「ちゃんとしゃべれますよね」って言われた気がする。同世代くらいの女の子にウケるかなと思っていたけど、けっこういろんな層の人が買ってくれた。中身の映画や本に反応して買ってくれるのうれしい。恋の比重よりそっちのほうが重いから。日記は生活だもの。下北にいそうな若い男の子が買っていくとTinderやってるのかなって邪推しちゃう。恋って最大のコンテンツよね。

ひと組、「いまTinderでマッチして、Twitter見て、きました!!」という元気な男の子二人組がきた。どうやら小説家志望だという二人。Tinderのプロフィールに載せていたわずかな日記を読んで、これはぜったい行かなきゃと思ってきてくれたそうだ。人生ではじめてサインを求められた。人生ではじめて「日記」を自分の名前として書いた。映画みたいな出来事だった。下北舞台の今泉力哉の映画かと思った。この登場人物がわたしだということが信じられなかった。

Tinderでマッチしている人も遊びに来てくれた。もうずっとほんとに長いこと読み続けてくれている人もいる。手元に本として残しておきたいと思ってくれるのがうれしかった。もっと話したかったな。

夕方まで人が途絶えることなく、16時くらいに持ってきた分はすべてはけてしまった。わざわざ買いにきてくれた方もいたのに、申し訳なかった。もう数冊だけでも持ってくればよかった。もうばか!ほとんど見れていなかったほかの方のブースを覗きに行く。正直体力の限界であまりちゃんと見ることができなかった。へろへろしながらゲット。委託販売もかなり盛況だったみたいでもうすでにブースが解体されていた(気がする)。日記に興味ある人ってこんなにいるんだな。

日記祭後、遊びに来てくれた親友夫婦の元へ。親友は、もう一ヶ月も前からカレンダーの予定に入れていてくれたらしい。この日はずっといっしょにいくと決めてくれていたみたい。ありがたすぎるな。なのに、在庫がなくなりそうだったから、結局渡せなかった。申し訳ない。親友夫婦と会うのは数回め。親友(男)がこんなにわたしと話ができるパートナー(女)を選んでくれてうれしい。いろんな話に飛びつつ、最終的にわたしの恋愛の話になり「そんなこじらせた恋愛してても、ずっとあなたはそのままでいいと思う!」とパートナーが言っていて笑った。こじらせ恋愛エピソード死ぬほどある。それしかない。そういえば日記を書きはじめた頃は恋愛は日常の切り売りになるから、なるべく書かないようにしていたのに、それを軸に本にしてるし。未来はわからない。今度家に遊びに約束をしたら「家に来る前に『すずめの戸締まり』観てどう思ったか教えて」と言われた。『君の名は。』以降、新海誠とはもう縁を切った。わたしとは関係のない映画をつくる人になった。いや、でも新海も変わったからみて、と念を押される。高校時代、おまえの家で死ぬほど、新海誠作品観たもんな。深夜に流れる、山崎まさよし

ほかの友だちから下北に向かっていると連絡がくる。親友夫婦は16時半くらいから飲んでいるみたいだったから、二人と解散してそちらと合流することにした。ほかの友だちは、二人だったけれど一人は体調不良で途中で帰ってしまったそうで、二人きりになった。二人で「CITY COUNTRY CITY」に向かう。会うことは多いけれど、二人ではほとんど話さないからいろんな話をした。友だちの話、それぞれの創作、仕事、恋愛、人生〜〜!?この年齢、ほんとにいろんな岐路である。どうにか彼女の努力が報われてほしいと思う。納品さえできればいい仕事はこの世に必要なんだろうか。それはそもそも必要なものだったんだろうか。仕事の価値を失うと自分の価値まで失いそうになる。恋、わからなくなってしまった。いや、それうちら定期的に言っている。「彼」が好きだったときも、よくわからなくなったときも、好きじゃない今も、そう思う。恋、よくわからない。でも恋したおかげで、友だちにぜったいおもしろいと思ったって言ってもらえる本ができたのだから、恋は不思議だ。わたしはよく知ってる。わたしの友だちは自分の興味のないものには興味を示さない。信用できる。

二人で盛り上がっていると見覚えのある人が入ってくる。サニーデイ・サービスの曽我部さんじゃん!いやそうかここ曽我部さんオーナーだ!と記憶の扉が開く。と思っても、曽我部さんに自分が話しかけることができるほど、サニーデイのことが好きかと自問した。街中で芸能人を見かけたとき話しかけていいのは、自分が本当に好きでしょうがない人だけだと思ってる。ここが曽我部さんの店って知らない奴はにわかだし。朝に聴くサニーデイが好きで、サニーデイに救われた夜があって、『愛と笑いの夜に』が流れる部屋でキスだってしたことあっても。

22時に下北で解散して家に帰る。Twitterを見ると、さっそく買ってくれた人が写真をあげてくれている。うれしすぎ。「彼」にラインして「持ってた分は売り切れたよ」と報告。喜んでもらえてうれしい。わたしの日記であり、二人の本である。一人じゃ途中で気持ちが折れたかもしれないけど、彼とデザイナーといっしょつくれたからよかった。これからああしたいこうしたいと夢が広がる。とりあえず二人で置いてくれる店探そうと盛り上がる。中央線で手に取ってくれる人がいるとうれしい。